デザインブランディングと3つのアイデンティティとは?
店舗におけるデザインブランディングは、その店舗が顧客に与える印象や価値観を形作る重要なプロセスであり、ブランドイメージの構築や維持が不可欠です。
ブランディングと関連して見かける「ビジュアルアイデンティティ(VI)」や「コーポレートアイデンティティ(CI)」という用語ですが、意味や重要性をご存じでしょうか?
アイデンティティは直訳すると「自己同一性」や「本人そのものであるか間違いないこと」などのように、一般的に身分証明として使われますよね。
この記事では、店舗をブランディングするうえで重要な3つの「アイデンティティ」がつく用語を、デザイン設計事務所である(株)コンセプションの目線でご紹介いたします。
目次
CI計画(コーポレート・アイデンティティ)
CI(Corporate Identity)計画とは
簡潔に言うと、企業/店舗の理念を一貫して展開していくことを指します。
企業/店舗のコンセプトやブランドを明確にし、統一されたイメージを構築するための戦略的な計画です。企業/店舗のミッション、バリュープロポジション、コーポレートストーリーなどの戦略的な要素を一貫性を持って展開し、顧客や市場に対して統一されたメッセージを発信し、ブランド価値を高めることを目指します。
VI計画(ビジュアル・アイデンティティ)
VI計画(Visual Identity)とは
CIに基づいた基本的なビジュアルデザインのことを指し、企業やブランドの視覚的なイメージや外観を構築するための計画です。
ロゴ、カラーパレット、フォント、グラフィックスなどのビジュアル要素を統一し、ブランドの一貫性を確保します。CI計画の一部として位置付けられることがあります。
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SI計画(スペース・アイデンティティ)
SI計画(Space Identity)とは
CI計画やVI計画については聞いたことがあるかもしれませんが、SI計画という言葉は馴染みが薄いかもしれません。
SI計画とは、場所や空間の個性や雰囲気を設計する戦略のことを指します。店舗、オフィス、イベント会場などにおける内装デザイン、配置計画、照明設計、サインや表示物、顧客体験の設計などが含まれます。この計画は、その場所のブランドや目的を明確にし、訪れる人々に魅力的な体験を提供することを目指します。
簡単に言えば、店舗や商空間のアイデンティティを確立する計画であり、お店の「想い」がスタッフや顧客に伝わるようにします。
「こうありたい」というお店の気持ちと、「○○なお店だね」というお客さんの気持ちを一致させることを目指します。
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自分はブランディングできてる?ステップ別に解説
繁盛する店舗/企業にいたるまでのステップとして、5つのステップがあります。
■ステップ1: 店舗/企業の“売り”がはっきりしていない
■ステップ2: 店舗/企業の“売り”は明確になったが、“想い”はまだ伝わっていない
■ステップ3: 店舗/企業の“想い”が徐々にお客さんに伝わり始めた
■ステップ4: 店舗/企業の“想い”がお客さんに浸透している
■ステップ5: 店舗/企業とお客さんがコミュニティを形成している
ブランドイメージの確立にはステップ1から始めることが重要であり、先ほどの3つのアイデンティティ計画を用いて、店舗/企業の“売り” つまり”コンセプト”を明確にする必要があります。
もしステップ1~2の状況で思い悩んでいる方は、特徴や個性などの“売り” は何かを振り返り、店名/企業名や外観・内装デザイン、そしてロゴやメニュー表などのグラフィックデザインを見直してみてはいかがでしょうか。
このような工夫を通じて、お客さんが店舗/企業の「想い」を理解しやすくなり、より良い顧客体験を提供することができるでしょう。ステップ1から着実に成長していく店舗/企業の姿をイメージしてみてください。
ブランディングがうまく出来ていないとどうなる?
ステップ1で“売り”が明確になっていても、うまくブランディングができていないとステップ2で立ち止まってしまい、先のステップに進めません。
具体的な例を用いて、少しピントがずれてしまっている店舗をご説明します。
例えば、繁華街から少し離れた場所にある和食料理店を例に考えてみましょう。店主は日本料理の修業を積んだ経験豊富な方であり、料理の腕前に自信を持っています。そのお店の“売り”は、「本格的な懐石料理を気軽な価格で楽しめる」という点です。
しかし、現状ではお店のファサードや店名からはそれが伝わりにくい状況です。お店の雰囲気やメニューのデザインも、居酒屋や大衆食堂を思わせるものであり、本来の「懐石料理を気軽に味わえるお店」というイメージが十分に伝わっていません。
これではお客さんが勘違いしてしまい、入店してもイメージとのギャップに戸惑ってしまいます。これはステップ2の段階でブランディング戦略がうまくいっていないために起こる問題です。
そこで、3つのアイデンティティ計画を活用して、お店のブランディングを見直す必要があります。具体的には、店名やファサード、内装、そしてメニューなどのグラフィックデザインを改善し、お店の特徴である「懐石料理を気軽に楽しめる」という点を強調します。
そうすることで、「こうありたい」というお店の気持ちと、「○○なお店だね」というお客さんの気持ちを一致させていきます。
最後に
簡潔に言えば、CI計画は企業のコンセプトやブランドに関する包括的な戦略を立てるものであり、VI計画はその視覚的な要素、SI計画は空間の要素に関するものです。
店舗のデザインブランディングにおける重要な要素を把握し、ブランドイメージを効果的に構築することができます。
店舗が自身のブランドを明確に理解し、それを顧客に伝えることで強いブランドイメージを形成し、競争力を高めることができます。
私たちについて
私たち(株)コンセプションは、沖縄を拠点にこだわりの空間デザインを行う「商・住空間 デザイン設計事務所」です。レストランデザイン設計、店舗デザイン設計、住空間のリノベーションはコンセプションにお任せください。
コンセプトから一貫して全体デザインを行い、メッセージ性のある空間を作り上げていきます。
見た目だけの設計ではなく、 機能設備・導線計画・コスト面など、ありとあらゆる方向からデザインし、ロゴ作成・サイン計画などのグラフィック要素やガーデン・植栽計画など、空間に関わるものすべてをトータルしてデザインいたします。
どんな小さなご相談でもお気軽にお問い合わせください。
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